輪廻転生の種類が3つあるって、知ってた? 竹倉史人『輪廻転生』は、輪廻転生を考えるための必読書!
誰でも一度は生まれ変わり(輪廻転生)ってあるのか考えると思います。
これがあるかないかで、人生の意味が大きく変わってくる可能性がありますからね。
竹倉史人『輪廻転生』(講談社現代新書)を読んで、大変おもしろかったのでご紹介です。
この本は、著者が東京工業大学大学院でまとめた修士論文がベースになっています。なので、かなり学術的にしっかりした内容になっています。
この本を読むことで、輪廻転生を整理した形でとらえることができるようになります!
[amazon asin=”B015J5279M” kw=”竹倉史人 輪廻転生 講談社現代新書”]
実は、輪廻転生とひとことで言ってもいくつかの種類があり、現代ではそれがごちゃまぜで使われているんですね。
著者はこの本で、輪廻転生の種類を3つに分類しています。
- 再生型
- 輪廻型
- リインカネーション型
では、それぞれを簡単に説明していきましょう。
再生型
これは世界中の小規模部族社会に共通して見られるタイプです。
最大の特徴は、転生先が自分の子孫や家族、親族などの、地縁・血縁に限定されている点です。そして、祖霊信仰とも結びついていて、呪術的な世界観を持っています。
死んだ後には一連の儀礼が正しく行われることが重要で、そうすることで死者がまたこの世界に転生してくることが可能となります。
また、ひとりの霊魂が分離して、複数の人物に転生することもあります。
これは現代の我々には変に思えるかもしれませんが、実はひとりにひとつの霊魂というのは、西洋文明の基盤であるキリスト教の世界観です。
なので、非キリスト教圏では、霊魂の分離というものも起こり得ます。
天国という概念も無く、祖先の霊の世界というものがあって、祖先の霊はそこから子孫たちを守護しなければなりません。
お盆などは、この概念を引き継いでいるものかもしれませんね。
輪廻型
これはインドに起源をもつ思想で、仏教が代表的ですね。
業(カルマ)と呼ばれる因果応報の原理があったり、天国や地獄という他の世界が登場します。
再生型と違って、生前の行為が次の転生先に影響を及ぼす、という発想が取り入れられています。
生まれ変わりの先も、人間だけではなく動物だったり虫だったりします。また、この世だけではなく、もっと天国に近い世界だったり、逆に地獄に近い世界に生まれ変わったりします。
そして、生まれ変わることは不満足が永遠に続くことであり、苦しいことだと説きます。欲望に駆り立てられて生きるしかないという傾向性=業が、何度も輪廻を生じさせ、生きる者は永遠の生の苦しみの中に閉じ込められています。
なので、ここから抜け出すことこそが善き事とされます。
盲目的に生きること=業を自覚して、それを消し去る修行を積むことで、この輪廻から抜け出すことができると考えます。
現代に生きる我々には驚きですが、輪廻型の考え方では、生まれ変わらないようになることが幸せなことなんですね。
リインカネーション型
これは最も最近に登場した輪廻転生の型になります。19世紀のフランスで登場した心霊主義が基盤になっています。
心霊主義とは、複数人で交霊会というものを開き、霊とコミニュケーションして、メッセージを受け取ることを楽しむという、当時欧米社会でよくみられた流行です。
※ちなみに、後にコックリさんとして日本にも入ってきます。
この心霊主義で霊から受け取ったメッセージという形で、書籍も出版されるようになります。
このリインカーネーション型の特徴は、魂の進歩が強調されている点です。
この世に肉体を持って生まれてくることは一種の修行に来ることで、人生の苦難をあえて経験することによって、魂は鍛えられ進歩するという考え方です。魂の筋トレのようなものです。
魂は、自分で次の生の内容を選び生まれてきます。修行になるからと、あえて厳しい人生を選んで生まれる魂もあります。
そうして、修行を重ねていき、より高次の存在になっていくわけです。
このイメージは、産業革命が起こり工業化が進むにつれて具現化してきた、社会は常に進歩していくという進歩史観が強く影響しています。また、自由意志、自己責任の考え方も色濃く反映しています。
ちなみに、このリインカーネーション型は、日本で2000年頃から隆盛してきたスピリチャリズムのバックボーンにもなっています。
前世の記憶ってホントなの?
さて、ここまで輪廻転生の種類について解説してきましたが、実際のところ気になるのは、ほんとうに生まれ変わりはあるのか?ということだと思います。
ヴァージニア大学医学部のDOPSという研究機関が、幼い子供が語る前世の記憶を客観的事実と合致するかを調べています。集めた事例数は2,600件以上になるのとことです。
例えば、2000年、当時2歳だった、ルイジアナ州のジェームス君。
ジェームス君は「自分は飛行機に乗っていた、そして撃墜された」という話を突然し始めます。
詳しく話を聞いていくと、具体的な飛行機の名前や同僚の名前、飛行機の具体的な癖、硫黄島などの地名を話します。
心配した両親はいろいろ調べていくうちに、カリフォルニア州で開かれている戦友会を知り、訪ねます。
すると、ジェームス君が語ったとおりの人物が、実際に戦死していたことがわかったのです。
・・・
さて、ほんとうに生まれ変わりはあるんでしょうかね?
にしティーはこれについては、何も言えないなーと思っています。有るとも無いとも言えない。不可知論の立場です。
サイエンスのように、明確に検証できるという分野の話ではないですしね。
ただ、個人的には仏教が好きなので、仏教の輪廻観には馴染みがあります。
まあ、仏教の話はまたそのうちにしていこうと思います!
ひとまず、竹倉史人『輪廻転生』の話はここまで。
たいへんおもしろいので、興味が湧いた方はぜひ本書を手にとってみてください!
[amazon asin=”B015J5279M” kw=”竹倉史人 輪廻転生 講談社現代新書”]